3G,LTE,LPWAと電源

前項は、「Raspberry Pi + USBドングルで3G/LTE接続して、センサーノードまたはゲートウェイを作りましょう」という記事でした。

ここで抜けているのがコストと電源です。コストは今後考えるとして、Raspberry Pi + USBドングルが電池駆動できるのか?がみなさんの関心事でしょう。当社は以下の選択肢があると考えています。

1)Raspberry Pi + USBドングルはAC電源前提のゲートウェイと割り切る。ACケーブルが苦にならないならセンサーノードとして使うこともあるでしょうけど。省エネセンサーにはエナジーハーベストや電池駆動のものがあるのであえてRasPiを電池駆動しようとはしないと言うことです。
2)Raspberry Pi + USBドングルを電池で動かすことにこだわる。間欠動作させるなどして電力消費量を削減することをまず考える。
3)電池駆動が必要な場面ではWio LTEなど、Arduinoベースの電力消費の小さい基板で対応する。つまり主流から外れる特注としては仕事を請ける可能性がある、ということです。(これに注力するとRaspberry Piベース機種がおそろかになる)
4)Arduino他、LPWAが使えるものを利用する。インフラが整うまではピアツーピア、これも特注ということです。これもすぐビジネスにはならないので今現在注力するのは難しいです。

つまり、汎用品としては

1)AC駆動のRasPi + USBドングルをセンサーノードとして使ったりゲートウェイとして使ったりする
2)RasPiをゲートウェイとして使う、省電力のセンサー群をオプション設定する

のが当社の基本スタンスということです。

 

3G, LTE, LPWA

センサーやゲートウェイを公衆網に繋ぐには 有線LANやWi-Fiもありますが、これらは使える場所が限定されるのと、接続する相手が様々で機器の事情に疎い人が簡単に接続できるものではなく、ネット販売には向かないという当社の事情もあって最初から考慮に入れません。つまり3G/LTEを使うことを大前提にして、今後のLPWAも頭の隅に入れておく、というスタンスで臨みます。

次に前回書いた、機器構成として、センサーノードを直接3G/LTEに繋ぐのか、ゲートウェイが仲介して繋ぐのか、の選択になります。専用機は各自調べていただくとして、一般に売られている機器でやろうとすると以下の選択肢があります。

1)Arduino/Raspberry Piに3G/LTE機能とセンサーを付加して3G/LTEに直接繋がるセンサーノードとする
2)Raspberry Piに3G/LTE機能を付加してゲートウェイとする。Arduinoでゲートウェイを作ることは考えない。センサーノードは別途。

3G/LTE機能で市販されているものには、ArduinoベースだとWio LTEなど、Raspberry PiならUSBドングルや専用基板があります。

Arduinoベースだとゲートウェイにしづらいのと、Raspberry Pi専用の3G/LTE基板は高価、ということもあって、当社ではRaspberry PiにUSBドングルタイプの3G/LTEモデムを挿して使うことをお薦めしています。Raspberry Pi+USBドングルでセンサーノードを作ることもできますが、EnOceanとかBLEのセンサーを使ってゲートウェイにもします。

今後3G/LTEをLPWAに移行する場合もRaspberry Piにしておけばまず大丈夫でしょう。センサーをArduinoベースにするのは主にコスト、サイズなどを最適化するフェーズになってからです。

センサーノードとゲートウェイ

今後どのジャンルの技術開発に力を入れるべきかを考えるために、まず無線センサー・システムの機器構成を整理して見ます。まず初めに大きな選択肢が次です。(ここでは最終的に公衆網、クラウドに繋ぐことを前提としています)

1)無線センサーから直接公衆網に繋ぐ
2)無線センサーからゲートウェイを経由して公衆網に繋ぐ

1)だと無線センサー自体が3G/LTE/LPWAなどの機能を有する必要があるため、バッテリー容量やコスト、サイズなどが問題になってきます。センシングしたい場所が一箇所だけならこれでいいでしょう。
2)ならセンサーノード自体は小型で省電力のものが使えますから、複数のセンサー群+ゲートウェイ、にしたい場合の選択肢でしょう。

次に、センサー、ゲートウェイが空間を移動するかどうかです。以前書いたように、移動する人や車に設置することは大手各社さんが考えることなので、当社では位置が固定しているものに絞ります。

というわけで、次には、1)にも2)にも共通ですが、3G/LTE/LPWAのセンサーネットワークの実現可能性について考察することにします。

技術開発の方向性について

当社はセンサーの将来像として次のイメージを持っています。

・スタンドアロンであること。つまりケーブルレス=電池か自己発電で通信は無線ということ。
・電池の場合、最低1年は交換せずに済むこと。自己発電なら5年以上はメンテナンスフリーでいて欲しい。
・情報量の大きさとして、動画が連続して送れるくらいは欲しい。現実的には当面粗い画素でフレームを間引きするのはやむを得ない。
とここまで書いて思いましたが、スタンドアロンで長期間リモートセンシングするって人工衛星とか惑星探査機に近いですね。

これを究極の目標とすると、解決しないといけない課題は大雑把に次のように分類できます。

(無線)コストパフォーマンス、使い勝手の良い方式を選択する
(センシング)適切なセンサーの選択とその使い方で消費電力を極力抑えること
(情報処理)限られたバンドで動画等大量の情報を送れる処理
(消費電力削減・電源)高密度・高耐久・高安定な電池、電源回路

他にもデータ圧縮とかセキュリティとか、ノード側(最近はエッジというらしい)である程度の処理、例えば人を認識したら人数として送るとか、の処理も視野に入ってくるのでしょう。もちろんコストや入手性は重要です。

開発リソースは多くないので幅広く検討してどこに注力すべきか決めていこうと思います。

電源の設計

年明け早々の仕事は電源回路の設計になりました。

「無線センサー」を実現するには、まず初めに無線方式を決めないといけませんが、それに劣らず電源方式が重要です。「無線」を標榜するからには電源ケーブルを引っ張りたくないので、自ずと電池、できるならエナジーハーベスト、を検討することになります。

以前どこかに書きましたが、エナジーハーベストでできることはかなり限定されるので、電池のコストやスペース、交換や充電の手間、などが許されるのであれば通常は電池を選択します。ところがこの電池というのが選択の幅が広くてなかなか厄介なのです。充電の可否、容量、大きさ(形状)、入手性、コスト、放電性能、等々です。あまり選択の幅を広げすぎると選べなくなりますから、当社では以下の基準を設けてその中から選ぶようにしています。

1)一度設置したらできるだけ長く、通例は数年もたせたいことを考えると充電できることにそれほど大きな価値はなく、コストから一次電池を前提とする。安いアルカリ電池もあるが、長期間動かすには自然放電が小さいリチウム電池が良いらしい。因みにリチウム電池は「保存期間」が10年、「期待寿命」は5年くらい、自然放電は1%/年、くらいらしい

というわけで、「リチウム一次電池」の中から選ぶことにします。

2)交換頻度の次にお客様が重視するのが「大きさ」のようなので、単一型を数本並べるなどの大きさはそれを許容してくださるお客様に限定して、一般向け標準品としては「単三型」(AA型と称するらしい)一本の大きさを上限とします。

3)ここで立ち止まって考えないといけないのが出力電圧です。

電池に用いられる化学には明るくないので詳しくは説明できませんが、リチウム電池には3V出力のものと3.6V出力のものがあります。コイン電池のように小型のものには3Vが多く、単三型のように大きなものは3.6Vのものが多いようです。3Vならそのまま動いても3.6Vでは動かない回路もあるので、DC/DCコンバータを噛ませることを前提に考えることにします。

DC/DCコンバータを調べているうちに色々考慮すべきことがわかってきたのでここに書き留めておきます。

3−1)昇圧、降圧、昇降圧

3->3.3Vなら昇圧型、3.7->3.3なら降圧ですが、電池の電圧が最終的に2V程度まで下がることを考えると、3->2Vから3.3Vならずっと昇圧ですが、3.7->2Vと変化するものですと降圧から途中で昇圧に切り替えてもらいたいということになります。降圧も昇圧も可能なDC/DCコンバータはあるにはありますが、それらが切り替わる時点で出力が安定してくれるのかどうか定かではありません(調べてません)。それにセンサー・無線発信が動いてない時はできるだけ放電はしたくないですね。DC/DCコンバータ自体の無負荷時の消費電力が気になってきます。

3−2)バイパスモード

例えば電池の電圧が3Vあって、回路が3Vでも動作するならDC/DCコンバータの内部回路は動作せずそのまま出してくれた方が消費電力は少なくて済みますよね。そんな機能があるchipがあります。それを切り替える回路は必要なのでそのコストが見合えば使える、というわけですが。

3−3)可変電圧

代表的な3.3Vと5Vを切り替えて使えるものが一般的ですが、中には1.8-5.5Vの中からベストな電圧を連続的に設定できるものがあります。因みにEnOceanのモジュールの起動電圧は2.6Vで、最高5Vまで与えても良い、という仕様なので、3.3Vでもまずくはないのですが、消費電力のことを考えるとギリギリ2.7Vとかにしたいところです。

その他、DC/DCコンバータ以外にも、数nAで動くタイマーで電力供給を制御したり、消費電力を下げる工夫は色々できそうです。

今日はここまで

 

新規要素開発の検討

ここで言う「要素開発」とは、製品の完成体に組み込む前の、個別の技術要素の開発のことを指します。

今からやろうとしている「要素開発」は具体的には、どの物理量をセンシングするか、どのセンサーで行うか、の検討、選択、試作、実証実験、あたりまでを意識しています。

当面の取り組みとして「人の動きを見える化する」ことに決めたので、手始めに人の動きを検知できるセンサーを探してみます。

物理的な力を検知するもの=振動、圧力、等による
電磁波を使うもの=可視光、赤外線、レーザ、等による
その他、超音波など

「人の動きを見える化する」だけでも使えそうなセンサーがたくさんあって選ぶのに苦労していることがお分かりになるでしょう。

事業運営の方向性について

前回まで商品企画についてあれこれ書いてきましたが、事業の方向性についても一言述べておかねばならないことに気づきました。

市場経済に身を置いているので、どの土俵で戦うか、を意識せねばなりません。

あるプロダクトを持っているとして、業績を伸ばすための次の一手は大きく分けて次の2つあります。

1)価格を下げてたくさん売る
2)価値を上げる

お分かりのように1)は大企業のアプローチで、投資競争になってしまいます。翻って私どものような会社は2)を目指すべきなのです。

無線、エナジーハーベストはコスト競争です。有線よりも設置や保守のコストが安くできるから無線にしたい。電池のコストや電池交換のコストよりも安くできるならエナジーハーベストを選ぶ。この行き着く先は価格、投資競争です。私どもはこの競争には加わりません。

というわけで、今後も今までできなかったことをできるようにする、付加価値をつけることにこだわり続けます。

アーミンのオンライショップを覗いてみてください

商品企画あれこれ(4)

会社方針としてどこを向いて仕事をしているのかある程度の方向性を出す必要性があることに気づいたのでここまで小文をいくつか書きました。ここで結論を出しますと、当面の方針としては「人の動きを見える化する」ことに注力したいと考えています。

EnOceanのセンサーは大きく分けると「環境を観測する」ものと「人の動きを把握する」ものの2種類がありますが、前者は既に家電等に内蔵されており、センサー単独で必要になるのはビルオートメーションなど大規模な建物に限られるだろう、との読みです。そういうところは当然従来から市場を抑えている人々がカバーしますから。「モノ」についてはその「モノ」を持っている人々が考えます。

というわけで、「人の動きを見える化」できるセンサーの調査・試作から着手している、というのが現状です。

アーミンのオンライショップを覗いてみてください

商品企画あれこれ(3)

一般論を並べるのはここまでにして、今何を考えているか一端を披露しようと思います。

1)エナジーハーベスト無線、EnOceanの今後

エナジーハーベスト無線で送れる情報量はかなり限られます。「ドアが開いた・閉じた」「人が前を横切った」「温度はXX℃」程度です。ソーラーセルの効率は徐々に上がるにせよすぐ動画を送れるような劇的な変化は見込めません。

EnOceanからLPWA版も出ましたが、全国に設置して誰でも使えるようにするというような動きはありません。point to pointの使い方です。当面はEnOcean発祥のヨーロッパで普及した照明制御含むビルディングオートメーションか、日本から普及し始めたassisted living、日本語では「高齢者見守り」のジャンルが普及していくことでしょう。これらジャンルでのプレーヤーはほぼ出揃って普及活動をしていますので、当社が敢えてこのレッドオーシャンに入っていくことはありません。

とはいえ、EnOceanの公式ディストリビューターなので、部品供給、設計サポート、啓蒙活動等の業務は今まで通り続けます。

2)当社の今後の活動につきまして

特定小電力のエナジーハーベスト無線を続けて見えてきたことがあります。

ひとつにお客様からの無線化への期待、ニーズは根強いということ。そして無線化しても電源ケーブルが残るのは片手落ち、つまり低電力化して電池化、エナジーハーベスト化が避けられない、ということ。

我田引水ではありますが、センサーの無線化、並行して低電力化、の方向性は間違っていなかったということです。

というわけで引き続き、物理世界から取れる情報の種類を増やし、質を上げ、論理の世界に送り込んでいくのが当社の使命と再認識しているところです。

次はもう少し具体的にお話ししましょう。

商品企画あれこれ(2)

前項では主に作る側、事業者側の視点でIoT商品企画の悩みを書きましたが、次に使う側、マーケット側から商品を見て見ます。技術的な視点は外しませんが。

1)センサー自体を移動するか否か

センサーを人が持って移動するか、移動体(車とか)につけるか、というような視点です。「ウェアラブル」とか生体情報の観測とかいうジャンルもあるにはありますが、スマホがこれだけ普及してしまうと人に新たに別のセンサーを持ってもらうのはかなり骨が折れそうです。車載センサーは当然大手が考えているはずなので、ここではひとまず「センサーは移動しない、どこかに据え付けて使うもの」を前提とします。

2)観測対象は環境かモノか人か

この判断が大きく商品を左右すると考えています。「環境」とは温度、湿度、照度、気圧、騒音、ガス、放射能、埃、等々を指します。「モノ」とは、設備の稼働率、劣化度合いを知るために消費電力や振動などを測定することを意味します。建築物や害獣対策もここに入るでしょう。

最後に「人」とは人の行動、つまりどこかを通過した、混雑度合い、行列の長さ、等々を知ることです。

通信事業者にとって上記はどれも共通でしょうけれど、我々のような直にお客様に接している事業者はどういうお客様に使ってもらおうとしているかで商品が大きく変わってくると思います。