IoE商品企画の実際(16)~次に進める前に一旦整理

やることが増えてきたのでこの辺りで一旦整理をしておきます。

===

(1)ゴール

正直「これがゴール」と言うのはまだ見えていません。市場の反応を見て軌道修正しながら事を進めている状況です。

“Zero to One”のPeter Thiel氏のように、明確なゴールが設定できさえすれば財務的、開発リソース的困難は乗り越えられる(つまり集まってくる、集められる)、という楽観的な手法もあるとは思いますが、そういう手法で消えていったプロジェクトをあまた見てきた経験からすると、全てのスタートアップがそういう手法で成功するとは限らないと思っています。財務も開発リソースも限定された状況で成功する手法を探ります。

(2)企画の手法

前記の制約を設けた上で成功するにはPDCA(Plan>Do> Check>Action)サイクルを早く回すことだろうと考えています。経験上、謙虚な姿勢でcheckして、謙虚にactionを起こせば、当初のplanやdoが外れていても次から間違った方向には行かないだろうと思っています。市場にぶら下がる、おこぼれに預かる、わけではなく、planやdoで多少の冒険をしつつcheck, next-actionで軌道修正を素早く行う、ということです。いきなり持ち金全部つっこむような大博打はしない、ということです。

(3)まずは歯止め。PDCAの”C”

株式会社は利益追求を目的とする組織ですので、論文を書いておしまい、発表会に展示しておしまい、にはしません。あくまで利益で結果を判断します。

そうは言っても利益で判断すると早くて半年後とかになりPDCAサイクルが年2回しか回せず、開発・販売サイクルが他の企業と同期してしまいます。つまり当社の強みであるスピードが生かせない。

そこで、市場との対話は、毎月の販売状況と、対面営業での対話、そしてSNS・ブログでの反応を重視することにします。

(4)コントロールする要素。PDCAの”D”

本来自分でコントロールすべきものを他者に委ねて失敗したケースを多々見てきました。事業経営者たるもの最低ひとつは自分がコントロールできるものを持つべきです。それが「自分だけがコントロールできるもの」なら尚更良いです。

・受信機・ゲートウェイのプラットフォームは当面Arduinoに絞る。Linuxベースのコントローラでビジネスを展開している会社(特に大企業)はわんさとあるから。独占はできないが次善の策ということです。

・固定的に設置するセンサーを基本とする。移動体につけるセンサー類、例えばGPS、加速度、等には手を出さない。後者の方が面白いのですがいかんせんPDCAサイクルが長くなることが見えているから。

・無線方式は当社の最大の強みであるEnOceanと、インターネットに出るためのWi-Fiを基本とする。BluetoothやWi-SUNには興味を引かれるがこのジャンルでは当社に競争力がないのでオプション的な扱いになります。

・以上より選択肢に入るセンサーは、温度、湿度、大気圧、圧力、照度、人感(赤外線)等があります。他にない、興味を引かれるセンサー類に、振動、傾き、距離(超音波等による)、ホコリ、放射能、等々がありますが、PDCAサイクルが回りだして余裕ができてから手を出せばいいことです。つまり今の時点で市場が見えているものから手を付けるということ。

・使うセンサー類の物理コネクタはGrove、電気的・論理的にはI2Cを基本とします。

長くなったので今日はここまで。

 

 

 

 

 

IoE商品企画の実際(15)

IoE商品としてまず最初に実現したいと考えているのが「ワイヤレスセンサーネットワーク」です。

「(ワイヤレス)センサーネットワーク」って技術用語としてはずいぶん前からあるのに未だ一般化しているとは言い難いですよね。センサー部品が一般化して(企業に勤めている技術者でない)普通の人でも一個から買えるような状態になったにも関わらず、これをネットワークにつないで実用として使いこなしている例を多くは聞きません。実験的にクローズドなシステムが動きましたって言うニュースをたまに聞く程度だと思いますがいかがです?

ここでは(ワイヤレス)センサーネットワークをプロトタイピングすることを考えてみますが、そのためには(1)数あるセンサー部品を容易に扱えるようにすることと、(2)センシングした情報を容易に、有効に扱えるようにすることだろうと考えています。うんと簡単に言えば前者がハード、後者がソフトです。

今回は前者の一例を示します。

もったいぶらずに答えを先に言ってしまうと、Seeed Studio社のGroveと言う規格を使います。以前センサーというとアナログでキャリブレーションが必要など扱うのが難しかったのですが、最近はI2Cという2線式(GNDを入れると3線)のインターフェースが出ているものが増えてきており、I2Cを前提にしたシステムでも特に支障がなくなってきていると思います。

また、電気的・論理的にI2Cに統一できたとしても、物理コネクタで統一規格がなかなかなか出てきませんでしたが、Seeed Studio社がGroveという一連のセンサー・スイッチ群を2.0mmピッチの4ピンコネクタで統一してきたので、当面これに乗っかることにします。

(プロトタイピングにはブレッドボードやユニバーサル基板が普及している2.54mmピッチが扱いやすくていいのですが、普及したもん勝ちですから仕方ないですね)
IMG_2343

 

上の写真はGrove規格のセンサー・スイッチ類をArduinoで制御するためのBase shieldと呼ばれるものです。当面これを使ってプロトタイピングを進めていきます。