年明け早々の仕事は電源回路の設計になりました。
「無線センサー」を実現するには、まず初めに無線方式を決めないといけませんが、それに劣らず電源方式が重要です。「無線」を標榜するからには電源ケーブルを引っ張りたくないので、自ずと電池、できるならエナジーハーベスト、を検討することになります。
以前どこかに書きましたが、エナジーハーベストでできることはかなり限定されるので、電池のコストやスペース、交換や充電の手間、などが許されるのであれば通常は電池を選択します。ところがこの電池というのが選択の幅が広くてなかなか厄介なのです。充電の可否、容量、大きさ(形状)、入手性、コスト、放電性能、等々です。あまり選択の幅を広げすぎると選べなくなりますから、当社では以下の基準を設けてその中から選ぶようにしています。
1)一度設置したらできるだけ長く、通例は数年もたせたいことを考えると充電できることにそれほど大きな価値はなく、コストから一次電池を前提とする。安いアルカリ電池もあるが、長期間動かすには自然放電が小さいリチウム電池が良いらしい。因みにリチウム電池は「保存期間」が10年、「期待寿命」は5年くらい、自然放電は1%/年、くらいらしい
というわけで、「リチウム一次電池」の中から選ぶことにします。
2)交換頻度の次にお客様が重視するのが「大きさ」のようなので、単一型を数本並べるなどの大きさはそれを許容してくださるお客様に限定して、一般向け標準品としては「単三型」(AA型と称するらしい)一本の大きさを上限とします。
3)ここで立ち止まって考えないといけないのが出力電圧です。
電池に用いられる化学には明るくないので詳しくは説明できませんが、リチウム電池には3V出力のものと3.6V出力のものがあります。コイン電池のように小型のものには3Vが多く、単三型のように大きなものは3.6Vのものが多いようです。3Vならそのまま動いても3.6Vでは動かない回路もあるので、DC/DCコンバータを噛ませることを前提に考えることにします。
DC/DCコンバータを調べているうちに色々考慮すべきことがわかってきたのでここに書き留めておきます。
3−1)昇圧、降圧、昇降圧
3->3.3Vなら昇圧型、3.7->3.3なら降圧ですが、電池の電圧が最終的に2V程度まで下がることを考えると、3->2Vから3.3Vならずっと昇圧ですが、3.7->2Vと変化するものですと降圧から途中で昇圧に切り替えてもらいたいということになります。降圧も昇圧も可能なDC/DCコンバータはあるにはありますが、それらが切り替わる時点で出力が安定してくれるのかどうか定かではありません(調べてません)。それにセンサー・無線発信が動いてない時はできるだけ放電はしたくないですね。DC/DCコンバータ自体の無負荷時の消費電力が気になってきます。
3−2)バイパスモード
例えば電池の電圧が3Vあって、回路が3Vでも動作するならDC/DCコンバータの内部回路は動作せずそのまま出してくれた方が消費電力は少なくて済みますよね。そんな機能があるchipがあります。それを切り替える回路は必要なのでそのコストが見合えば使える、というわけですが。
3−3)可変電圧
代表的な3.3Vと5Vを切り替えて使えるものが一般的ですが、中には1.8-5.5Vの中からベストな電圧を連続的に設定できるものがあります。因みにEnOceanのモジュールの起動電圧は2.6Vで、最高5Vまで与えても良い、という仕様なので、3.3Vでもまずくはないのですが、消費電力のことを考えるとギリギリ2.7Vとかにしたいところです。
その他、DC/DCコンバータ以外にも、数nAで動くタイマーで電力供給を制御したり、消費電力を下げる工夫は色々できそうです。
今日はここまで