無線通信が時々切れるときには・・・
無線で安定した通信ができない場合、問題を切り分けて特定しましょう。
1)他の無線の干渉、擾乱がないところで実験します
電波暗箱、シールドルーム、屋外等、他の無線が飛んでいない環境で、安定した通信ができているかどうかを確認しましょう。特に2.4GHz帯でWi-Fi, ZigBee, Bluetooth(Low Energy含む)等の無線が混雑している環境では元々安定した通信は望めないと思った方がよいでしょう。
2)無線の特性を知っておく
周波数帯によってそれぞれの特性は異なりますが、ごく一般的に言えるのは
A)鉄板や水などの導体は通過しません。鉄扉などにご注意下さい。
B)障害物を回り込む性質があります。周波数が高くなるほど直進性が強くなり、低くなるほど障害物を回り込んで到達可能な性質があります。送る情報量を増やすには周波数は高いほどよいのですが、回り込みを期待するなら周波数は低いほどよいと相反する性質があり、携帯電話で900MHz帯を「プラチナバンド」と呼んでいるのはこの性質によります。
C)偏波面にご注意ください。水平偏波を垂直偏波では受信できないということですが、実践的に言えば、感度が低いと思ったら送信側もしくは受信側のアンテナの角度を変えてみると改善されることがあります。
D)ヌルポイントにご注意ください。同じ送信機から出た無線は壁で反射したあと衝突すると強め合ったり弱め合ったりします。風呂やプールの真ん中で波を起こしたとき、壁面で反射してきた波と重なって振幅が大きくなる状況を想像して頂けるといいと思います。
E)地上高にご注意ください。送信機(のアンテナ)、受信機(のアンテナ)、双方の間には適度な大きさの空間が必要です。この空間のことを「フレネルゾーン」と言いますが、専門的なことはさておいて、送受信とも地面に置いたときと、双方とも地上高2mに置いたときでは、送受信間で無線が飛べる空間が約2倍違うことを想像頂けるとよいでしょう。
3)単純な通信(電文)でテストしましょう
送信側は、一定の送信パタンを一定の時間間隔で送り、受信側はそれらをログする、ようなソフトウェア(テスト用治具)を作ってみることをお薦めします。現実のアプリケーションの、複雑な通信では問題が解析できません。幾つかの通信パタンを用意して、幾つかの実験環境でテストして、どんな時に安定し、どんな時に不安定なのか、を把握すると解決は早いと思います。
4)客観的に評価、説明するには良い測定器を使いましょう
ある程度の知識がある方は、スペクトラムアナライザやプロトコルアナライザを使って最終的に問題点を把握すべきですが、これらの機材を持って使いこなすことができる方は既に専門家の領域ですのでここではこれ以上述べません。誰でもできる簡単な方法は、受信機から出てくる電界強度の強弱を掴んでおくと良いと思います。
5)最終的にはFAE(フィールド・アプリケーション・エンジニア)を頼ります
上記の現象を把握して、説明できるようになって、なおかつ解決できない場合は、その無線チップや無線モジュールを購入された代理店に相談すべきです。第三者では責任ある回答ができないことを理解しておくべきでしょう。
ここまで