EnOceanとの出会い前夜の3回目。
「電池レス無線」を実現するのは現実的か?を探ろうとしているときに、ミ〇ミ電機が「電池レス無線スイッチ」を展示会に出展した、という情報を得ました。そこで次の展示会に出向いて名刺交換をし、ミ〇ミ電機本社を訪問しました。これが2011年の夏です。
ここでその後関わりを持つ人々との出会いがいろいろありました。
そしてそこでのディスカッションで入手したのが、「既に独EnOceanが欧米で実用化している」という話。そこからまた紆余曲折して…
では次回。
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Self-powered Internet of Things
昨日の続き。
また別の某中小メーカの社長さんとの会話の中で大きなヒントをもらいました。
・現状は赤外線リモコンを使っているが、日光の強いところで使えない。隣の部屋とか遮蔽物が邪魔しても使えない。指向性が強くて受信機に正確に向けないといけない。ここを何とかしたい。
・有線は配線が面倒で、建物ができてからつけるもの(ブラインドやロールスクリーン等)は工事が高くつく。ビルのテナントの都合で入居の度に工事になる。無線リモコンは便利なのはわかっているが、充電が必要ならクレードルまでの電源工事がいる。電池はリモコンの数が多くなると交換が手間。電池を在庫するのも手間だしもったいない。
こんな会話から、無線を電池レスにしたい強い欲求が湧いてきました。
電池レス無線に関してのディスカッションはかつての取引先ともしました。そこは「電波を電力に変える装置」をやっていました。はっきり言って実用にはならないでしょう。悪いけど。
これからしばらくEnOceanとの出会いについて書いていこうと思います。今思えばこの出会いは必然のようで、スティーブ・ジョブズの言う、正に”connecting the dots”があったように思います。
私は前の会社で、ファミレスとかでよく見かける、「ワイヤレス・チャイム」の設計・製造を手がけておりました。
この機種は単4電池2本使っているのですが、故障や不具合で戻入されてくるものって、電池回りのトラブルが多いんですよね。電池交換が必要なのは当然ですがそれ以外に
機械的な接触不良
化学的な接触不良(腐食、液漏れ)…飲食店は液体がいたるところにあるのでこれが多い
飲食店のテーブルには電源コンセントがないのが普通で、配線も嫌われます。従ってこういう電子機器を置こうとすると必然的に「電池」になるのですが、これがやっかい、ということ。
「電池レス」にしたいな~と思った理由の一つがこれでした。
さて続きは次回に。
先日、テレビ東京の「カンブリア宮殿」という番組に、サイクロン掃除機で有名になったダイソンの創業者、ダイソン氏が出ていました。
世界で初めてサイクロン掃除機が世に出るまで5千回も試作を繰り返したそうですが、彼をそこまで駆り立てたのは、「紙パック掃除機が目詰まりして吸引力が落ちていく、掃除機として構造的に問題があるものを堂々と売っていることに対する怒り」、なのだそう。
それで思い出すのが、今は亡き旧友が「自分の欲しいもの、欲しくなるもの、を作るのだ」と常日頃言っていたこと。
会社から、上司から、作れと言われたから作る、お客が欲しいと言うから作る、ではなくて、自分の欲しいもの、自分が買う立場だったら欲しくなると信じられるもの、を私は作りたい。
by カエサル(シーザー、ローマ皇帝)
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注:以下の文章は、2011年11月、電池レス無線に注力するぞ、と社内に誓った時のものです。この後、もう一度、賽は投げられた、と感じた瞬間が訪れます。
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昨今ニュースで、ギリシャの債務問題に端を発するユーロ危機、円高、TPP、タイの洪水による製造業の減産、などを耳にすると思います。 世界中が経済でつながっており、日本の地方だからと言って無関係ではいられない時代になりました。
国の各種規制に長らく守られてきたため世界的な競争についていけなくなってしまった業界がいくつかあります。農林水産業、医療(製薬・機器含む)、教育、等々。無線もそのうちのひとつでしょう。
中途半端な努力では中途半端な成果しか得られない世の中になりました。死に物狂いで競争に勝とうとしている人たちに勝とうと思えば、それ以上に死ぬ気でやらなければなりません。我々が生き残ろう、勝ち抜こうとすれば、国内にとどまらず新興国を含めて全世界の誰よりも優れているものを持たなければならないということです。
我々には新しいことをこなして行けるだけの能力はあると信じています。新しいことに常にチャレンジして行きたいという意思もあります。そしていずれは何かひとつでも、全世界の誰よりも優れたことができるようになる日が来ます。
根拠の薄い期待は断ち切って、前向きに気持ちを切り替え、自らの能力で積極的に社会に貢献していく会社にしていきましょう。
by 故スティーブ・ジョブズ(前アップルCEO)
ご存知、数限りないヒット商品を飛ばしたアップル共同創業者・前CEOの言葉だけに重みが違います。
「情熱がたっぷりなければ生き残ることはできない。それがないと人はあきらめてしまう。だから情熱を傾けられるアイディアや問題をもっていなければならない。正したいと思う誤りでもよい。さもないと、こだわり続けるだけの忍耐力が持てない。我慢さえできれば、うまくいったも同然なんだ」
私は普通の人よりずばぬけてひとつのことにこだわり続ける執念があります。我慢ができない人はどんどん脱落していきます。だからこそこだわりのある、あきらめない、我慢強い人が生き残るのです。
儲からないからと言って簡単に損切りする資本家と私のような事業家とは思考回路が全く違うと最近つくづく思います。
キリマンジャロの麓には360万年前に2足歩行を始めた人類の祖先の足跡があるそうです。ここは住みやすさのために住みにくい場所への移動を怠り、多様な経験を積むことなく、この地に文明が発達しなかったのではないかと言う人がいます。
日本を始めとする文明国は、基本的な衣食住に加えて、医療、通信、輸送手段が進歩しており、この環境で棲息している”ヒト”は動物の”種”としてはこれ以上進化しないのではないでしょうか。狩のために速く走れるようになったりはしないし、柔らかいものを食べ続けた結果、顎や歯が退化し始めていますしね。
(話が逸れますが、あなたの足の小指の関節は3つですか?2つですか?)
単細胞生物が苛酷な環境に耐え続け、何億年も進化し続けてきた結果が現代人ですが、自分たちで心地よい環境を作り上げた結果、これ以上”生物”としては進化しない、できなくなってしまった、ということです。ここで大規模な天変地異があったら”種としてのヒト”は残るでしょうか。
今の居心地のいい環境に満足することなく、新しいこと、過酷なことにチャレンジし続けること。これが自らが進化し生き延びていくための条件と考えています。