ゲートウェイについて(その1)

今回からしばらく「ゲートウェイ」について書くことにします。

ここで「ゲートウェイ」とは、異なるプロトコルをつなぐ装置、のことを言います。EnOcean無線が「ラストワンマイル」(注)の規格であるのと、マイナーな無線プロトコルであるのとで、EnOcean製品を扱い始めてすぐゲートウェイの問題が表面化しました。レストランにあるオーダーベルはボタンを押して限られた範囲に音と表示が届けばいいですが、これだけやってるわけにいかないですから。

開発者向けにはPCに挿して使える受信機、USBドングルタイプのUSB400Jがあるのですが、実際に運用する際にPCを24時間専有して稼働させるわけにはいかない。そこでインターネットにつなぐために、EnOceanの情報を有線LAN、無線LAN、携帯網(3G~)へつなぐ専用のハードウェアを企画することにしました。

まずどれから着手するかですが、決める観点としては、実現の容易さ(←絵に描いた餅では意味ない)、使いやすいか、そして価格、でした。この時点で3Gは候補から落ちました。なんせ技術的にも調達するにもハードルが高かった。(ところが最近状況が変わってきたので次回以降にそこらへんの事情を書くことにします)

次に有線か無線かですが、作る側からするとそれほど差はありません。本体コントローラから見てデバイスの見え方はハード的にもソフト的にも大きくは変わらないからです。価格の面で言えば、モジュール単体で見れば無線LANの方が多少高めですが、既にどこにでもアクセスポイントはあるし、有線はケーブル代や工事などが必要で場所も固定されるのでトータルで見ればコストは互角でしょう。

ただ一点決定的な違いが、無線LANは情報機器に詳しくない人が最初に物理的に接続するのが難しい、ということです。有線ならコネクタを挿すだけで、それ以上の設定はメーカがソフトウェアで頑張ればいいのですが、無線だと最初の接続がうちの母親のような全くの素人にはできない。

と言うわけで、無線LANゲートウェイは悩みに悩んだ末、Webサーバを内蔵してWebブラウザで設定する今の方式に落ち着きました。これなら技術サポートがお客さんと同じ画面を見ながら電話で指示できますから。

(注)ラストワンマイル:マイルというのが米国発祥の言葉であることを匂わせますが、世界中に張り巡らされたネットワークの一番端っこ、という意味です。ここはあまりに数が多く、しかも仕様が千差万別で標準化がなかなか進まないところです。今やIoTと言う言い方をして、大手メーカがここを狙い始めています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です